不動産売買時に行われる物件調査とは?詳しい内容や注意点を解説
不動産売買時には、売却物件に対して不動産業者が「物件調査」を行います。
売却の初期段階で行われるこの物件調査は、当該不動産の価値算定の基準をなすため大きな意味を持ちます。物件調査によって算出された査定価格がそのまま売り出し価格になることもあるので、どのようなポイントが重要なのか事前に押さえておくと良いでしょう。
この記事では、物件調査の詳細な内容や、実際の調査時に気を付けるべきポイントについても解説します。
目次
- ○ 物件調査とは
- ○ 物件調査の目的
- ○ 物件調査は6種類に分けられる
- ・物件概要の確認(聞き取り)
- ・現地調査
- ・役所調査
- ・法務局調査
- ・インフラ設備の調査
- ・市場・取引事例の調査
- ○ 不動産の種類によって調査内容は異なる
- ・家屋・土地の物件調査
- ・マンションの物件調査
- ○ 物件調査時に気を付けるべきポイント
- ・法令上の制限を確認する
- ・売主の本人確認をする
- ・当該物件の権利関係を確認する
物件調査とは
具体的な方法はいくつかに分けられるのですが、不動産の価値や詳細を把握するために、不動産業者が行うのが物件調査です。
基本的には不動産業者が現地に赴き、実際に目で見て調査するケースが多いです。
物件調査の目的
通常の不動産取引自体、宅建業者同士ではなく、不動産の知識を持ち合わせていない個人同士で行うことが多いものです。その際、知識がないが故に正しく査定が行えていないと適正価格ではない状態で取引されてしまいます。
そのため、個人間の取引に不動産業者が入り、公正な査定を行えるようにすることが物件調査の目的だと言えるのです。
物件調査は6種類に分けられる
不動産売却時に行われる物件調査方法は、6つの種類に分類されます。
基本的には全て行うのですが、必要に応じて特定の調査複数のみを行う事もあります。
物件概要の確認(聞き取り)
まず始めに、物件概要の確認が行われます。
メールや聞き取りなど方法は様々ですが、確認される内容としては、
不動産の種別、現在の使用状況、広さ、住宅ローンについて、法定相続人について、税金や管理費の納入状況などが挙げられます。
不動産業者が売主に対して上記の内容を質問し、事前に確認しておくことには、その後のトラブルを防ぐ意図があります。
現地調査
実際に対象不動産現地に赴き、建物自体の状況だけでなく、接道状況や近隣との境界、公図とのずれ、騒音やにおい、その他土地の傾きや地質など地勢についても調査します。
インターネットで中々得られない情報も、この現地調査によって得ることが出来ます。
役所調査
市町村の役所で行われるのが「役所調査」です。
建築基準法や都市計画法による制限の有無や、その他の法令による制限、道路状況やガス・電気・水道などのインフラ設備状況などを確認します。
上記を調査確認することで、増改築やリフォームは可能なのか、どのような規格で可能なのか、どの程度の制限を受けるのか等を明らかにすることが出来るのです。
法務局調査
法務局で行う「法務局調査」では、対象不動産の公式な情報を調査確認します。
登記簿謄本や公図、地積測量図が主な調査対象です。
登記簿謄本を確認することで物件所有者の名義や抵当権の状況が把握でき、公図や測量図で物件の正確な位置や面積を明確にできます。
法務局で手に入らない情報は、各自治体に問い合わせる必要も出てくるので留意しましょう。
インフラ設備の調査
インフラについては役所調査でも簡単に行いますが、より詳細に調査確認します。
飲料水設備の状況、ガスの種類やガスメーターの状況、下水設備や浄化槽、インフラの供給状況などが調査対象です。
当該調査では、状況確認だけでなく居住する際や設備更新をする際に必要な費用についても算出する必要があります。
市場・取引事例の調査
上述したおおよその調査が終われば、あとは市場や取引事例を調査します。
不動産は需給によって常に価格変動し、その時々で適正価格は変わっていきます。
より公正な価格を算出するためにも、周辺物件の売却情報や、近い条件での取引事例、値下げ事例などを調査確認します。
売却を成立させるためには欠かせない重要な調査と考えられます。
不動産の種類によって調査内容は異なる
物件調査では、不動産の種別によって重点的に扱われる項目がことなるので事前に確認しておきましょう。
家屋・土地の物件調査
一戸建てや土地が対象の場合、土地の状態や境界の状況などが重点的に確認されます。
接道状況によって支払う固定資産税も変わってくるだけでなく、一戸建ては建て方にも種類が様々なので慎重に調査されます。
土地内の埋没物や隣地との境界、リフォームや増改築の履歴も調査されます。
マンションの物件調査
一方、対象不動産がマンションの場合は集合住宅の為、物件そのものというより管理規約や共用部分において重点的に調査されます。
エレベーターなどの設備状況や、ごみに関するルール、喫煙やペットにおける規定、バリアフリー設備の状況などが調査対象となります。
物件調査時に気を付けるべきポイント
物件調査を依頼する際には、以下のポイントには特段の注意を払う必要があります。
法令上の制限を確認する
購入当初はよくとも、その後フォームの必要が出てくるかもしれません。
その際に特定の制限を受けるのか否か、事前に確認しておくと良いでしょう。
売主の本人確認をする
売主の本人確認は最も重要なポイントです。
近年では地面師による詐欺事件もありましたが、真の所有者でない者を所有者としてしまった場合、取り返しのつかないことになります。
登記簿謄本だけでなく、本人の公的身分証も照合するなど、念入りに確認しましょう。
当該物件の権利関係を確認する
抵当権などはもちろんですが、特に注意すべきは借地権です。
借地権は実質有効になっていても登記簿上に記載がない場合もあります。
後で知らなかったなどは通用しないため、事前に確認して必要に応じて権利の解除や抹消をするようにしましょう。
生津 博道(イキツ ヒロミチ)
福岡県福岡市を中心に、不動産売買事業を行っております。
エリアに精通していることはもちろん、
豊富な知識でお客様にしっかりとご納得いただけるよう努めて参ります。
・宅地建物取引士
・相続診断士
宅建免許番号 福岡県知事(1)第20483号
所属団体 社団法人全国宅地建物取引業保証協会