住宅の住み替え方法とは?費用や節約方法をご紹介!
より快適な生活を送るために、もしくは予期せぬ理由から意図しないタイミングで、
住宅の住み替えをせざるを得ない場合もあるのではないでしょうか。
「今払っている住宅ローンはどうなるの?」
「仮住まいはどうしたらいい?」
「新居の購入費はどうやって捻出すれば?」
住み替えを考え始めると上記のようなことが頭に浮かぶでしょう。
本記事では、住宅を住み替える時の代表的な方法だけでなく、必要となる諸経費やその節約方法までご紹介します。
目次
- ○ 住み替えの主な流れは2つ
- ・売却先行
- ・購入先行
- ○ 住み替えに必要な諸費用
- ・自宅を売却する際の諸費用
- ・仮住まいに必要な費用
- ・新居購入のための諸費用
- ○ 住宅ローンが残っている場合の住み替えは?
- ・基本的に「売却先行」の流れになる
- ・「アンダーローン」と「オーバーローン」
- ・住み替えローンの利用
- ○ 住み替え費用の節約方法
- ・3,000万円特別控除
- ・譲渡損失した場合の特例
- ・買い替え特例
- ○ おわりに
住み替えの主な流れは2つ
住宅を移る際には、「購入を優先する方法」と「売却を優先する方法」の主に2つが考えられます。どちらを選ぶかは、それぞれの財務状況やライフスタイルのニーズによって異なります。
前者の過程では、文字通り新しい家を見つけることが先行し、現在の住まいを市場に出すのは新居を購入してからになります。一方後者では、まず先に現住居の売却を成立させ、仮住まいなどの過程を経て新居の購入へと進んでいくこととなります。いずれを選択しても一長一短があることは後ほど解説します。
最もスムーズなのは、「同時決済」という方法で、これにより売却と購入を一日で完了させることが理想的です。しかし、この完璧なタイミングを合わせるのは難しいため、先に売却するか購入するかの選択を迫られることがあるのです。
選択をする際には、それぞれの方法の利点や潜在的なリスクを考え合わせることがカギとなりますので、自分の状況に最も合った方法を選び、住み替えのプロセスを計画的に進めましょう。
売却先行
こちらは文字通り、新居購入前に今の自宅を売却してしまう方法です。
先に売却をして手元の資金が確定した状況で新居を探すので、資金計画が立てやすい事はメリットだと考えられます。
しかし、売却して引き渡しをしてしまうと、新居が見つかるまでは仮住まいで過ごさなければならなくなるので、仮住まい分の諸費用(家賃など)が掛かることはデメリットと言えるでしょう。
また、家賃だけでなく、今の住宅から仮住まいの住宅へ、仮住まいの住宅から新居へと2回引っ越しが必要になるのでその費用も意外に大きな負担となり得る事にも留意しましょう。
購入先行
こちらは、まず新居を購入してから自宅を売却するという方法となります。
新居探しの最中、現在の自宅を売りに出していないため、引っ越しや仮住まいを用意する必要もないのでゆっくりと新居探しに集中できます。
しかし、新居を購入してからは自宅が売却できるまで一時的に家を2つ維持することとなるので、その負担はしっかりと計算しなければなりません。
旧居の住宅ローンをどうするかなど、購入と合わせて対応しなければならないことも多い点には留意しましょう。
住み替えに必要な諸費用
上述した住み替え方法のどちらを選ぶかによってかかる諸費用も異なりますが、大きく分けて3つの状況別に解説します。
自宅を売却する際の諸費用
まずは自宅を売却した際に係る諸費用です。
一般的には売却価格の5%程度の費用が掛かると言われています。
内訳としては、不動産会社に支払う仲介手数料や、印紙代、司法書士に支払う住所変更登記費用などです。その他譲渡所得税がかかる場合もありますが、以下の記事をご参照ください。
不動産を売却した時に係る税金
仮住まいに必要な費用
どの程度の期間仮住まいするかにもよりますが、主に下記の費用が発生します。
家賃(仮住まいする期間分)や、敷金・礼金、引っ越し費用だけでなく、家具や家電を一時保管しておくならそのトランクルーム代なども考慮しておきましょう。
新居購入のための諸費用
購入のための費用はもちろん物件取得費が最も大きなウェイトを占めます。
その他にも不動産取得税や登記費用や仲介手数料といった所が必要な諸費用となります。
不動産取得税に関しては以下のサイトを参照ください。
不動産取得税(東京都主税局)
住宅ローンが残っている場合の住み替えは?
住宅ローンを利用する際には、当該住宅(土地・建物)を担保として資金を借りており、担保物件には抵当権が設定されます。
何らかの理由でローンの返済が出来なくなった場合には、ローンを融資している銀行はその抵当権を理由として不動産を差し押さえ強制的に競売に掛け、貸しているお金を回収するという運びになります。
住宅ローンの返済中はこの抵当権が設定されているため、抵当権が外れなければ売却できないのです。
基本的に「売却先行」の流れになる
そもそも住宅ローンを完済するためには、旧居の売却価格がローンの残債を上回ることが求められます。しかし実際には売りたい価格ではなく、市場内での適正価格に落ち着くことが多いため売ってみるまではいくらで売れるかわかりません。
たとえはローンの残債は1500万円の中、2000万円で売却出来れば新居購入の予算を少し増やすことも出来るでしょうが、1000万円での売却となればどうでしょうか。
住み替えのプランを再考する必要が出てくるでしょう。
希望の売却価格から大幅に乖離した中で、既に新居の購入を進めていたら買い替えが成立しないことになってしまいます。
そのため、住宅ローンの残債が一定以上ある場合は、資金計画的にも「売却先行」で住み替えを進めていく必要があると考えられます。
「アンダーローン」と「オーバーローン」
住宅ローンの住み替えは切っても切れません。
現在の自分の資産状況も反映するのでしっかりと把握しておきましょう。
「アンダーローン」とは、住宅ローンの残債<売却価格の状態のことを言います。この場合は売却したらローンを完済して抵当権を外して問題なく新居購入することが出来ます。
一方で、「オーバーローン」とは、住宅ローンの残債>売却価格の状態のことを言います。ローンが完済できなくとも、預貯金なども合わせて完済出来れば問題はありませんが、そうでなければ以下の住み替えローンなども検討する必要があります。
住み替えローンの利用
通常の住宅ローンでは、新居の購入金額分のみしか借りることが出来ないのですが「住み替えローン」を利用すれば、新居購入費+ローン完済の為の不足分を上乗せして借入することが出来ます。
担保物件以上の資金を借入することが出来ますが、当然毎月の返済も高額になるので、バランスなどを考慮して住み替えローンの利用は慎重に検討しましょう。
住み替え費用の節約方法
ここでは、住み替え時に活用を検討すべき特例をご紹介します。
詳細は参照サイトにてご確認ください。
3,000万円特別控除
売却した物件がマイホーム(居住用財産)の場合、所有期間の長短に関わらず譲渡所得から最高で3000万円まで控除できる特例があります。
適用条件には様々な項目がありますので、以下のサイトを参照しましょう。
マイホームを売った時の特例(国税庁)
譲渡損失した場合の特例
令和5年12月31日までに住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る価額で売却して損失(譲渡損失)が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができます。
詳しくは以下を参照しましょう。
住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)(国税庁)
買い替え特例
特定のマイホーム(居住用財産)を売却し、代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。
売却代金が1億円以下である事など、他にも様々な要件があるので確認しましょう。
特定のマイホームを買い換えたときの特例(国税庁)
おわりに
いかがでしたか?
ライフステージの変化により住み替えは避けられない場合もあるでしょう。
しかし、現在の住宅ローンの残債から、売却した際の相場価格、仮住まいをする場合の期間や費用の見積もりはしっかりと把握する必要があります。
また、住み替えローンもありますが安易に利用すると後々の返済で資金繰りが厳しくなることも考えられるので慎重に検討するようにしましょう。
生津 博道(イキツ ヒロミチ)
福岡県福岡市を中心に、不動産売買事業を行っております。
エリアに精通していることはもちろん、
豊富な知識でお客様にしっかりとご納得いただけるよう努めて参ります。
・宅地建物取引士
・相続診断士
宅建免許番号 福岡県知事(1)第20483号
所属団体 社団法人全国宅地建物取引業保証協会