委任状の書き方や記載項目と合わせて注意点も解説
不動産売買の手続きは、代理人を選定して委任状を作成することで第三者に委ねることができますが、委任状とはいったいどのようなものなのでしょうか。
意外かもしれませんが、実はその書式や記載項目に法的な決まりやひな型はありません。
そのため、ある程度自由作成可能ではある一方で抜け漏れのリスクも抱えています。
この記事では具体的な記載項目や作成する上での注意点を解説します。
目次
不動産売却において記載が必要な項目
決まりやひな型はないとは言え、最低限必要なものや、記載が推奨される項目は存在します。
まず必要になるのが、委任者(本人)と代理人それぞれの住所と氏名です。
ここには両者の自署名と実印での押印も必要となります。
「不動産売却契約を締結する権限を代理人に委任する」という一文も記載必須です。
他には、売買する物件の所在や地番を含む表示項目の記載も求められます。土地であれば地目や地積、建物付きの場合は家屋番号や種類・構造、床面積などもわかる範囲で記載するようにしましょう。
委任の範囲を明記する必要もあります。
契約書の締結までなのか、売買代金の受領も含むのか、引き渡しまで任せるのかしっかりと明記しましょう。
そのほかには、委任状を作成した日付はもちろん、有効期限の記載も必要です。
(例)有効期限:〇年〇月〇日まで
また、不動産を売却する際には、「売却の条件」の記載も必要です。
売却価格や手付金額、引き渡しの予定日や契約解除時の違約金、金銭の取り扱いや所有権移転登記申請手続き、公租公課の分担起算日についてなどの内容です。
公租公課の分担起算日とは、固定資産税・都市計画税の分担額の日割計算を行う場合に、年度の始まりとする日のことです。一般的には1月1日か4月1日のどちらかを採用します。
委任状を作成する際の注意点
先述した内容を抜け漏れなく記載すれば、白紙の紙に手書きしようがPCで作成しようが効力を持ちます。しかし、大切な注意事項もあるので見落とさず念頭に入れておきましょう。
「一切」という表現は使用しない
代理人に委ねる範囲は限定的にすることが推奨されます。
実質契約から引き渡しまでのすべてを委任するとしても「一切の件を任せる」などと記載してしまうと不用意に代理人の範囲が拡大します。
現場で自分の意志と異なる決定がされても委任者本人の自己責任になってしまうので注意しましょう。
内容を明確にして作り上げておく
現場で代理人に判断の余地を持たせるような曖昧な記載はやめましょう。
金額なら当然1円単位まで、口座情報も日付も全て明確に事前に記しておき、「代理人は現場で契約書に押印するのみ」の状態にしておくことが理想です。
仲介会社と直接コンタクトは取っておく
契約の場で第三者として立ち会う仲介会社と事前に内容のすり合わせ・共有を済ませておくとよいでしょう。代理人も良かれと思って現場で勝手な判断を下す可能性もなくはありません。そのような時には本人の意思や希望を把握している第三者が干渉できるようにしておきましょう。
生津 博道(イキツ ヒロミチ)
福岡県福岡市を中心に、不動産売買事業を行っております。
エリアに精通していることはもちろん、
豊富な知識でお客様にしっかりとご納得いただけるよう努めて参ります。
・宅地建物取引士
・相続診断士
宅建免許番号 福岡県知事(1)第20483号
所属団体 社団法人全国宅地建物取引業保証協会