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相続した空き家は売却する?放棄する?有効な活用方法や注意点も解説

近年、空き家が問題となっていることはご存知でしょうか。
総住宅数が総世帯数を上回っている状況、つまり住宅の供給過多によって空き家が増加しており、有効活用できないまま限りある土地を占有してしまっています。

昨今では相続空き家も増加しており、

相続した空き家の処分に困っている、相続放棄したい
どうにかして売却したいが良い方法がわからない
手を加えて有効に活用したい

など、様々なお話を聞かせて頂きます。

そこで本記事では、空き家を売却する際には具体的にどのようにすればいいのか、相続放棄する上での注意点、さらには空き家を有効活用する方法などを解説します。

空き家の対応に迫られている方はぜひご参考にして下されば幸いです。

目次

近年の空き家問題

1968年には、総住宅数の約4パーセント程度だった空き家率は、2018年の前回調査時には13.6%を記録しました。

出典:平成30年 住宅・土地統計調査(総務省統計局)

人口減少が進む中、空き家は増加の一途を辿ると予測されていますが、
とりわけ2025年に「大相続時代」を迎えることで深刻な状況に陥ることが危惧されています。

ここでは、相続と空き家の関係、空き家増加による影響を考えてみましょう。

相続が原因で空き家が増加?

上述した通り、2025年以降には空き家問題がより深刻化していくと言われていますが、
実は、現在発生している空き家の半数以上が相続により取得されているものなのです。


出典:令和元年空き家所有者実態調査(国土交通省住宅局)

上のデータからも、新築・建て替えより、相続による取得が多いのは一目瞭然です。
今後は一層この状況が強化されていく事となるので、限りある日本の国土活用を阻害する問題として国を挙げて解決していかなければならないのです。

空き家が増えることによる影響

増えすぎた空き家によって、具体的にはどのような影響が懸念されるのでしょうか。
大きく次の4つが挙げられます。

・景観が悪化し、地域住民の生活に悪影響をもたらす
・一帯の空き家率が上がると、地価の低下が懸念される
・犯罪の温床となり得る
・土地の有効活用が出来ず経済活動が縮小する

地域住民への悪影響で言えば、伸びきった草木などにより景観が悪化するだけでなく、建物に使われている木材が腐敗して悪臭がしたり、老朽化したために倒壊してケガをさせる可能性などがあります。

一帯が空き家だらけになった地域の住宅地に対する需要はどうでしょうか。
需要がなければ相対的に地価も低下するため経済にプラスの影響が望めなくなります。

他にも、人の目がないのをいいことにホームレスや犯罪者が不法占拠したり、ごみの不法投棄場所になることも考えられるでしょう。

総じて空き家の増加は、日々の生活においても経済活動においても悪影響を与えると懸念されているのです。

空き家はどのようにして売却できるの?

ただ所有しているだけでは管理費や税金も掛かってくるため、早く売却してしまいたいと考える方も少なくありません。

では、空き家の売却にはどのような方法があるのでしょうか。

現況のままで売却する

文字通り、建物の解体などせずに現況そのままで中古住宅(古家付き土地)として売却する方法です。
売れた際にはリフォーム費用や解体工事費用なども、買主負担となるので、売主側の手間と費用負担がないのがメリットです。

更地にして売却する

売主が解体業者に依頼し、建物を完全に取り壊し更地として売却するのも方法の一つです。
更地になることで、土地として使用用途に制限がなくなるので、買い手が見つかりやすくなり、早期売却の可能性が高まります。

古家付き土地よりも売りやすくなる一方で、安くはない解体費用は売主側が負担しなければならず、また、古家付き土地よりも税金が高くなるので売れなかった時はこれがリスクとなります。

不動産会社に買い取ってもらう

不動産会社に仲介を依頼するのではなく、直接買い取ってもらう方法です。
最も確実で早く、一般的にはこの方法を採用する方が多いです。
ある程度の土地面積がある場合だと、買い取って、建物を解体し、土地を分筆して複数の住宅を建てることで利益を上げる方法もあり、不動産会社としてもメリットを享受できるのです。

買取価格は不動産会社によって数百万円の差が出ることもあるので、会社選びは慎重に行いましょう。

空き家の相続放棄とは

一般に相続放棄とは、被相続人の資産や負債の相続権を放棄し、相続人としての立場を降りる事です。
空き家に関しても同様で、自身に相続があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所にて相続放棄の申述をし、受理されると相続放棄が完了します。

相続放棄しても空き家の管理義務は残る

空き家の維持管理を面倒に思い、相続放棄を検討する方もいらっしゃいますが直近で法律が変わったこともあり、下記の点には留意しましょう。

2023年の改正民法により管理義務を負う対象者が変更

相続放棄をしたら空き家の管理や固定資産税の支払いから免れて当然、とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、実際そのような訳にはいきません。
しかし、2023年の改正民法施行を起点に下記の通り内容が変わりました。

◆改正民法の施行前◆
相続放棄をしても、原則として空き家の管理義務を負う

◆改正民法の施行後◆
「現に占有している者」でなければ、相続放棄をすることで管理義務を免れる

現に占有していなければ、管理義務から免れる点が大幅な変更となり、相続放棄を希望する相続人にとってはポジティブな改正だったと考えられます。

相続財産管理人の選出により管理義務を免れることも可能

上述した「現に占有している者」であっても、家庭裁判所にて相続清算人選任を申し立てることで、管理義務を免れることが出来ます。
この際、被相続人の最終住所地を管轄している家庭裁判所で行わなければならない点には留意しましょう。

空き家の活用も検討しましょう

空き家を相続した際、どうにか有効活用できないか、と考える事もあるでしょう。
手放さずに運用するとなるとリスクも伴うので計画的な実行が求められます。
ここでは、大きく3つに分けて空き家の有効な活用方法をご紹介します。

リフォームして賃貸戸建てとして活用する

マンションと比較して面積当たりの賃料が割安になるため、地価が高い都心部向きであり、ファミリー層が主なターゲットになる活用方法です。
リフォーム代や継続的な修理費など手出しも必要となるので、事前にしっかりと回収計画を立てることが重要です。

ファミリー向けの賃貸戸建てとしてだけでなく、デイサービスグループホーム等の福祉施設事務所・シェアオフィス等として活用することも可能です。
空き家所在地域におけるサービスニーズの調査や、目的に応じたリフォームは必要になりますが、うまく活用できれば安定した収益基盤ともなり得るでしょう。

その他の活用方法

リフォームをして民泊シェアハウスレンタルスペースとして活用することも出来れば、建物を取り壊して更地にしてしまえば、駐車場としても活用することが出来ます。

他には、太陽光発電で望ましい売電収入は得るという活用方法も考えられます。
この場合、ソーラーパネルをなるべく多く設置する必要があるため一定以上の面積が求められます。
そのため、都心部ではなく郊外向きであり、さらに広めの土地をお持ちの方は検討すべき活用方法です。

安易に経営に乗り出すのは推奨しませんが、周囲と相談してご自身の将来設計と照らして慎重に考えてみると良いでしょう。

おわりに

いかがでしたか?
これからの大相続時代、普段町で見かける空き家も他人事ではなくなります。

必要以上にネガティブな印象を持たなくてもよいですが、事前に知識を得て、その時が来たら売却なり活用なりご自身にとって最適な選択ができるように備えておくべきではないでしょうか。

記事を監修した人


生津 博道(イキツ ヒロミチ)

福岡県福岡市を中心に、不動産売買事業を行っております。
エリアに精通していることはもちろん、
豊富な知識でお客様にしっかりとご納得いただけるよう努めて参ります。


・宅地建物取引士
・相続診断士

宅建免許番号 福岡県知事(1)第20483号
所属団体 社団法人全国宅地建物取引業保証協会


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