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一生払う?マンションの修繕積立金や管理費とは?相場や適正額などを解説

念願のマイホームを購入したい方、それがマンションだった時は支払いに関して注意が必要です。

大抵のマンションの場合、住宅ローンを月々返済するだけという事はあり得ません。
「管理費」「修繕積立金」、車をお持ちの方は駐車場代も住宅ローンとは別に支払う必要があるのです。

これらの支出はローン同様必ず支払う必要がある固定費ですが、物件によって異なるだけでなく、居住する階数や部屋の面積、年数によっても支払う額が変わる場合もあります。

月々数万円ともなると馬鹿にならない支出です。
今一度、管理費や修繕積立金がどういったものであり、何のために支払っているのかを理解しておきましょう。

本記事では、管理費や修繕積立金の意義や違いだけでなく、適正額や変動するケースなども含めて詳細に解説します。
マンションの購入を検討されている方は、購入前にぜひご参考にして頂ければ幸いです。

目次

マンションで支払う「管理費」について

マンションに居住すると家賃やローン以外に「管理費」を支払ったことがある人は多いのではないでしょうか。
この管理費とは一体どのようなものなのでしょうか。

管理費とは?

管理費は、マンションの居住者が快適で安全な生活を送るために必要な費用です。
この費用は、マンションの共用部分の維持管理や、必要な修繕、清掃、セキュリティなどに充てられます。

マンションの管理を管理会社に委託している場合、この管理費の大部分は管理委託費として支払われます。管理委託費の詳細は、管理組合と管理会社の契約内容によって決まります。
居住者はこの契約内容をよく理解し、定期的に確認することが重要です。
これにより、支払った費用がどのように使われているのかを把握し、必要に応じて適切な対応を取ることができるのです。

管理費の用途

管理費の用途は多岐にわたります。
管理員や清掃員の人件費、管理委託費のほか、共用部分の電気代や水道代などの光熱費も含まれます。また、エントランスや共用廊下、ゴミ置き場、駐輪場などの清掃費用、消火設備や給排水設備などの共用施設の保守点検費用も管理費から賄われます。

さらに、エレベーターや自動ドアの軽微なメンテナンス、宅配ロッカーや防犯カメラなどの共用設備の保守点検、植栽の剪定や伐採の費用も含まれます。これらすべての費用が、居住者全体の快適性と安全性を確保するために重要であることは言うまでもありません。

算出方法

管理費は基本的に専有面積に応じて算出されます。
同じマンションでも専有面積が広い部屋ほど管理費は高くなります。また、マンションに備わっている設備やグレードによっても管理費は変動します。さらに、戸数が少ないマンションでは、管理費を分担する居住者が少ないため、一戸当たりの管理費が高くなる傾向にあります。

タワーマンションの場合、多額の管理費が必要なため、戸数が多くても管理費がそれほど安くならないことがあります。これらの要因を理解することで、自分の住むマンションの管理費がどのように決まっているかを知ることができます。

管理費に相場はあるのか

国土交通省が発表した「平成30年度マンション総合調査結果」によると、分譲マンションの管理費の全体平均は217円/㎡です。管理費は住戸の広さに基づいて決まるため、特別な共用施設がついていない限り、同じ広さの部屋であればどの階に住んでいても管理費は変わりません。

例えば、80㎡の部屋であれば、平均で約17,360円の管理費がかかる計算になります。
これを参考にすることで、自分の住むマンションの管理費が適正かどうかを判断する一助となるでしょう。もちろんあくまで目安なので、詳細は管理会社に確認するようにしましょう。

このように、管理費はマンション生活において重要な役割を果たします。その内訳や用途を正しく理解し、適正な管理費を支払うことで、快適なマンションライフを維持することができます。
マンション標準管理規約(単棟型)国土交通省

マンションで支払う「修繕積立金」について

賃貸ではなく、分譲を購入した際に聞くのが「修繕積立金」です。
この支出はどこに充てられているのか、また、算出方法や相場はどのようになっているのでしょうか。

修繕積立金とは?

修繕積立金とは、分譲マンションの外壁、屋根、エントランス、エレベーターなどの共用部分の修繕や維持管理を行うために、入居者全員が負担する積立金のことです。これらの費用は、安全で快適な生活を維持するために必要な大規模修繕工事に充てられます。

修繕積立金は、外壁の塗装や給排水管の工事など、計画的に行われる大規模修繕工事に使用されるほか、事故や災害が原因で必要となる突発的な大規模修繕工事にも対応します。これにより、マンション全体の安全性と機能を長期にわたって維持することができます。

修繕積立金の用途

修繕積立金の具体的な用途としては、外壁の張り替えや塗り替え、屋上の防水工事、共用配管や設備の補修・交換などが挙げられます。また、共用廊下やバルコニーの補修、オートロックシステムの更新、エレベーターや機械式駐車場の補修・交換・更新、さらに耐震補強工事なども対象となります。

これらの工事は、10年から20年といった長期的なスパンを見据えて計画されており、マンションの規模にもよりますが、実際の工事には数千万円から億単位の費用がかかることもあります。修繕積立金を計画的に積み立てることで、こうした大規模修繕をスムーズに実施することができるのです。

算出方法

修繕積立金は、基本的に長期修繕計画に基づいて算出されます。
まず、計画期間中に必要となる修繕工事の総額を見積もり、その総額を期間内に積み立てる金額として毎月の修繕積立金が設定されます。

算出方法は、管理費と同様に各住戸の専有面積に応じて行われるため、専有面積が広い住戸ほど修繕積立金も高くなります。

修繕積立金の相場は?

国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」によると修繕積立金の相場は、マンションの規模や付随設備、築年数などによって異なりますが、一般的な目安としては、駐車場使用料を含めて月額約12,268円、除外すると月額約11,243円程度です。

これらの金額は、マンションごとに異なるため、自分の住むマンションの修繕積立金が適正かどうかを確認することが重要になります。

修繕積立金は、将来的な大規模修繕を円滑に実施するための重要な資金です。
マンションの長期的な維持管理には欠かせない要素であるため、その役割や使い道を正しく理解し、計画的に積み立てることの必要性を理解しておきましょう。

管理費や修繕積立金が上がることはある?

管理費や修繕積立金は払い始めた時からずっと同額なのでしょうか。
基本的には年数が経つほど上がっていくと言われていますが、その理由や実態を解説します。

管理費も修繕積立金も増額される場合がある

管理費と修繕積立金は、それぞれ異なる理由で増額されることがあります。

管理費の場合、値上がりの要因には、人件費の上昇、電気代の値上げ、新しい設備(例えば宅配ロッカー)の設置や経常的な修繕費、マンションが加入している保険料の増加など、日常的なニーズの変化が含まれます。管理費の値上げには、管理組合での合意が必要です。区分所有者の反対があれば、値上げを抑えることも可能です。

一方、修繕積立金は、築年数の経過に伴い建物が劣化するため、必要な修繕が増えることで値上がりします。不測の事故や災害などの特別な事情が生じた場合、修繕積立金を取り崩して使用することもあります。例えば、震災で建物が損壊した場合、修繕積立金を使って修繕を行い、その後の積立金が調整されることがあります。

支払い計画に入れておくべき

マンションを購入する際には、管理費や修繕積立金が将来的に値上がりする可能性を考慮しておくことが重要です。住宅ローンの返済額に加え、毎月の支払い可能な予算をギリギリで設定していると、管理費や修繕積立金の増額によって家計が圧迫されることになります。

したがって、マンションを購入する際は、これらの費用が将来的に増えることを見越して資金計画を立てることが重要です。例えば、毎月の支払い額に余裕を持たせたり、将来の値上がりに備えて予備費を積み立てておくことが賢明です。

マンションの長期的な維持管理には、管理費や修繕積立金が不可欠です。これらの費用の変動を予測し、適切に対応することで、安心してマンション生活を送ることができます。

支払いを滞納した場合どうなる?

乖離費や修繕積立金は基本的に口座振替にされている方が多いかと思いますが、
たまたま口座にお金が入っておらず引き落としができなかったり、数カ月にわたって支払いをしていない場合はどのようになるのでしょうか。

訴訟の可能性もある

金融機関の引き落とし日に残高が不足していて、1回分や2回分の管理費や修繕積立金が引き落とせなかった場合は、すぐに管理会社や管理組合に連絡して、指定された口座に必要金額を振り込むことで、大きな問題にはならないことが多いです。

しかし、滞納が続くと、管理組合から管理会社を通じて(または管理会社がない場合は直接)、速やかに未払い分を支払うように書面や電話、訪問などで督促されることになります。滞納額が大きくなると、訴訟に発展する可能性もあります。管理組合は、滞納歴が短い場合でも、簡易裁判所での少額訴訟を起こすことができるため、支払いが遅れることのリスクは無視できません。

売却の際は不利に働く

修繕積立金や管理費の滞納がある場合、その未払い分は売主から買主に引き継がれることがあります。マンション購入時の契約内容によっては、これらの「負の資産」も次の所有者に継承される可能性があります。そのため、不動産仲介業者は滞納について買主に説明する義務があり、これが原因で売買取引が成立しにくくなることがあります。

このような滞納がある物件は当然ながら買い手に敬遠されやすく、売却が困難になります。
マンションをスムーズに売却するためにも、管理費や修繕積立金は滞納せず、きちんと支払うようにしましょう。

管理費や修繕積立金が高いマンションの特徴

管理費や修繕積立金が高いマンションには以下のような特徴があります。

戸数が少ない

マンションの戸数が少ない場合、一戸あたりの管理費や修繕積立金が割高になる傾向があります。これは、共用部分の維持や修繕にかかる費用を少ない戸数で分担するので、一戸あたりの負担が大きくなるためです。

グレードが高い

グレードが高いマンションは、植栽が充実していたり、常駐の管理人がいたり、コンシェルジュサービスを提供するなど、より多くの費用がかかります。そのため、管理費や修繕積立金も自然と高くなる傾向にあります。

高級感や快適さを維持するために必要なコストが、これらの費用に反映されるのです。

共用部の利用料収入が乏しい

マンションの維持管理費用は、管理費と共用部の利用料収入によって賄われます。
有料の駐車場、駐輪場、バイク置き場など、管理組合の収入源が少ない場合、その分管理費が高くなることがあります。

ただし、機械式駐車場などの維持コストが高い場合、共用部の収入があっても管理費が安くなるとは限りません。平面駐車場が多いマンションは、維持コストが低いため、その分管理費が抑えられる可能性があります。

収入源の多さと維持コストのバランスが重要となります。

管理費や修繕積立金が安いマンションを選ぶべき?

管理費や修繕積立金が相場よりも極端に安いマンションを見つけた場合、慎重に検討する必要があります。
安さに飛びつく前に、その背後に潜むリスクをしっかりと確認しましょう。

管理費や修繕積立金が安いマンションの中には、法定点検を行っていなかったり、必要な損害保険に加入していなかったり、修繕積立金を取り崩して緊急対応しているケースもあります。また、日々共用部分の清掃が不十分であったり、定期的な点検や修繕が最低限しか行われていないマンションも少なくありません。このような状態が続くと、建物の維持管理が十分に行われず、結果としてマンション全体の劣化が進みやすくなります。

マンションは、多くの人が共有する財産です。経年劣化は避けられないため、適切な維持管理が求められます。管理費や修繕積立金を過度に抑えることで、必要なメンテナンスが行われない場合、建物の資産価値が下がり、将来的に売却する際に大きな不利益となる可能性があることを忘れてはいけません

そのため、管理費や修繕積立金が安いマンションを選ぶ際には、なぜその費用が低いのかを十分に確認し、必要な管理が行き届いているかを慎重に判断することが重要です。

適切な管理が行われているマンションを選ぶことで、長期的な安心と資産価値の維持が期待できるのではないでしょうか。

おわりに

マンションの管理費や修繕積立金は、快適で安全な暮らしを守るために欠かせない重要な支出であることはお分かり頂けましたでしょうか。

これらの費用は、共用部分の維持や大規模修繕に充てられ、マンション全体の価値を維持するために重要な役割を果たしているのです。

管理費は、日常的な管理や清掃、修繕に必要な費用を賄うために使われます。
マンションの規模や設備の充実度により、管理費の額は変わります。例えば、グレードの高いマンションでは、常駐の管理人やコンシェルジュサービスが提供されるため、管理費が高くなる傾向があります。一方で、管理費が安いマンションでは、日常の清掃や点検が十分に行われていない可能性があるため、注意が必要です。

修繕積立金は、長期的な視点でマンションの大規模修繕を行うための資金です。
築年数が経つにつれ、建物の劣化が進むため、適切なタイミングでの修繕が不可欠です。修繕積立金が十分に積み立てられていないと、急な修繕費用が発生した際に対応できず、建物の価値が下がるリスクがあります。

支払いが滞った場合、管理組合からの督促や訴訟のリスクがあり、マンションの売却時にも不利になることがあります。したがって、管理費や修繕積立金の支払いは計画的に行い、予算の中で無理のない範囲でマンションを選ぶことが重要です。

マンションを選ぶ際には、管理費や修繕積立金が適切に設定され、透明性のある運営が行われているかを確認しましょう。費用が安いだけでなく、長期的な視点での維持管理がしっかりとされているマンションを選ぶことが、快適で安心な生活を送るためのポイントです。

これらのポイントを押さえることで、マンション生活をより安心して楽しむことができます。管理費や修繕積立金に関する理解を深め、賢明な選択をすることで、将来的な資産価値の維持と快適な暮らしを実現しましょう。

記事を監修した人


生津 博道(イキツ ヒロミチ)

福岡県福岡市を中心に、不動産売買事業を行っております。
エリアに精通していることはもちろん、
豊富な知識でお客様にしっかりとご納得いただけるよう努めて参ります。


・宅地建物取引士
・相続診断士

宅建免許番号 福岡県知事(1)第20483号
所属団体 社団法人全国宅地建物取引業保証協会


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