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任意売却とは?通常の売却や競売との違い・メリットやデメリットを解説

多くの方が住宅を購入する際にはローンを組まれるかと思いますが、
ローン返済中も予期せぬトラブルやライフスタイルの変化が生じることもあるでしょう。

中には離婚や失業などにより、ローンの返済が困難になる方もいらっしゃるかもしれません。

売却代金と自己資金を合わせてもローン完済できない方は「任意売却」を検討してみてもいいかもしれません。

この記事では、任意売却がどのようなものか、通常の売却や競売との違いや特徴を簡潔にまとめて解説します。

目次

任意売却とは

任意売却とはいったいどのようなものなのでしょうか。
このセクションでは、通常の売却競売の2つの売却手法と比較しながら特徴を解説します。

通常の売却との違い

通常、ローンを利用して購入した不動産を売却する際には、ローンの完済が求められます。残債があるオーバーローン状態でも自己資金を用いて完済できれば売却できます。
そのため、売却代金を返済に充てた場合、新居の購入費で新たにローンを組みなおす、ということも少なくないでしょう。

しかし、「任意売却」は通常の売却と異なり、ローンに残債がある場合や、売却代金と自己資金を足しても完済できない場合に有効な売却手段なのです。

最大の特徴は、ローンの借入先である金融機関の同意を得れば売却でき、売却金額をローン返済に充てることができる点です。

ただし、通常の売却では物件所有者が売り出し価格を決定できるのに対し、任意売却では債権者である金融機関が価格を決定することが多い点には留意しましょう。

競売との違い

任意売却と競売の最も大きな違いは、売却過程で得られる金額とプライバシー、強制力にあります。

任意売却では、売り出し価格を売却相場の8~9割程度に設定できるため、比較的高額での売却が可能です。これに対し、競売では売却相場の6~7割程での売却が一般的であり、場合によっては市場価格の半額程度にしかならないこともあるのです。
この差は、住宅ローンの返済資金に大きな影響を及ぼし、任意売却の方が返済資金をより多く確保できる可能性が高いことを意味します。

さらに、任意売却の場合、通常の不動産売却活動と変わらず、近隣住民に売却事実が露見することなく進めることができます。これは、プライバシーの保護にもつながり、売主の精神的負担を軽減する一方で、競売になると売却情報が公開され、近隣住民に経済状況が露呈するリスクが生じます。

住宅ローンの支払いが滞った場合、借り手は分割払いの権利を喪失し、金融機関からローン残高の即時全額返済を求められます。全額を一括返済することが困難な場合、金融機関は保証された自宅を市場に出して売り、その収益で貸し付けた資金を取り戻す措置を取ります。

これが一般的に行われる「競売」です。

競売は物件所有者の同意を得る必要なしに売却することを裁判所が認め、購入者をオークション形式で決定する形を取るため強制力を持つ点も大きな特徴です。

任意売却が利用できる条件

任意売却を選択するための条件は、いくつかの具体的な基準によって定められています。
まず基本的な条件として、住宅ローンの返済が困難になっていることが挙げられます。つまり、経済的な困窮に直面しており、ローンの月々の支払いを続けることが難しい状況である必要があります。また、任意売却を進めるには、金融機関の許可が必要です。先述したように金融機関は債権者として、売却による返済計画を承認する必要があります。

さらに、物件に関して税金の滞納がないことも重要な条件です。
税金を滞納しており、その物件が役所によって差し押さえられている場合、原則として任意売却は実行できません。

最後に、連帯保証人や共有名義人がいる場合は、これらの全員の同意が必須となります。
連帯保証人や共有名義人もローン契約や物件に関わる重要な当事者であるため、彼らの了解なしに任意売却を進めることはできません。これらの条件を満たす場合、初めて任意売却の道が開かれることになります。

任意売却のメリット

ローン返済が難しく窮地に立たされた際にも、任意売却という光明があることはご理解頂けたしょうか。

ここでは、任意売却のより詳細なメリットについて解説します。

価格を大きく下げずに売れる

基本的に市場価格(相場)付近で売り出されるため、競売と異なり大きく売り出し価格を下げる必要がありません。債権者である金融機関もなるべく高値で売却できた方が返済額を増やせるため値下げを簡単に行う事もしません。

周囲に知られずに売却できる

通常の物件売却と同様にインターネット上で掲載されるため、所有者が残債を残している、完済まで自己資金を合わせても足りないなどといった経済事情が表立つことはありません。

競売の場合だと裁判所職員が自宅の調査に来たり、一般の方でも閲覧できる競売物件を取り扱うサイトへ物件写真など全て掲載されてしまうため周囲に知られてしまいますが、任意売却の場合だとその心配はありません。

離婚時・財産分与でも活用できる

夫婦2人の名義で物件を購入している場合、離婚してもペアローンや連帯債務の関係性は解消されずローン残債を支払う必要があります。

同居を解消して住まいを売却したくても、自己資金など含めてオーバーローン状態だと通常の売却が行えません。

そのような時は、金融機関の同意を得て任意売却を活用することで、早期に金融上、物理上の関係を清算できます。

任意売却のデメリット

任意売却にはいくつかのメリットがある一方で、
見落としてはいけないデメリットも存在します。

安易に任意売却を検討する前に、必ず把握しておきましょう。

金融機関の合意や保証人の同意が必須

重複しますが、任意売却を行うためには抵当権を持つ金融機関や連帯保証人の同意が必須になります。
金融機関だけが同意して、連帯保証人が同意していない状況だと売却は行えません。

また、査定調査をして売り出し価格で売却をすることを仮定したとしても、ローン残債額と乖離があると考えられる場合はそもそも任意売却に合意してもらうことは難しいでしょう。

夫婦で購入している物件の場合、中には配偶者の親が連帯保証人になっているケースもあります。そのような場合でも当然同意が必要なため、書類に署名押印してもらわなければなりません。

信用情報機関に情報が渡る可能性がある

任意売却を行った際、信用情報機関に情報が渡る場合もあります。
いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれるものです。

もしも情報が登録された場合、通常であれば7年間は記録が残ってしまいます。
記録が残ると、クレジットカードの発行はもちろん、何かローンを組んでの買い物や住宅ローンは当然利用できなくなってしまいます。中には携帯電話の契約も難しくなるケースもあります。

しかし、一生ローンを組んで住宅が購入できないわけではなく、あくまで7年間の登録期間の中での話である点は留意しましょう。

依頼できる不動産会社が少ない

任意売却は通常の売却と異なり、利害関係者が多い売却手法です。
ローンの滞納であれば金融機関、税金の滞納であれば役所との折衝、返済も見越した売り出し物件についての交渉など一定の専門知識を必要とします。

そのため、街で見かける通常の不動産会社では取り扱ってもらえる会社も少ないのが実情です。

役所とのお付き合いや交渉次第では、本来差し押さえで競売に掛けられそうになるはずだった物件の差し押さえを解除して任意売却できた、などといった事もあり得ます。

専門知識とノウハウを有した不動産会社を見つけなければ、そもそも任意売却は難しいと考えても良いでしょう。
実績や取扱いエリアを鑑みて最適な不動産会社を見つけ出し、早期に相談するようにしましょう。

おわりに

本記事では、任意売却について解説しました。
通常の売却や競売との違いからメリットデメリットまで、ご理解頂けたでしょうか。

仮に今はローン返済が順調であっても、後になって予期せぬ事情から問題が出ることは誰にでもあり得ることです。

窮地に立たされた時から検討するのではなく、今のうちから万が一に備えて知識を入れておくことで大切な資産である不動産を守れるようにしましょう。

記事を監修した人


生津 博道(イキツ ヒロミチ)

福岡県福岡市を中心に、不動産売買事業を行っております。
エリアに精通していることはもちろん、
豊富な知識でお客様にしっかりとご納得いただけるよう努めて参ります。


・宅地建物取引士
・相続診断士

宅建免許番号 福岡県知事(1)第20483号
所属団体 社団法人全国宅地建物取引業保証協会


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